2024
微生物による複合発酵(EMBC)技術を活用し、人の排泄物を飲料可能な水へと浄化する、完全な水循環を実現するバイオトイレの計画である。
輪違いのかたちは、ふたつの円が重なり合うことで共創を象徴し、汚水と浄化という循環のプロセスを表している。
水・光・土・根といった自然の営みに建築が溶け込み、土に還る素材や再生材を活かしてつくられている。
また、輪違いの屋根のあいだから降り注ぐ光は、人と人とのつながりを生み出す。
地中でひっそりとつながり合う睡蓮の根のように、この場もまた、目には見えないかたちで、すべての存在を結び、育む場所である。
トイレでありながら、ここに佇むことで「慈愛」にふれる静謐なひとときを届ける空間である。
用途や設置環境に応じて、大きさや仕様のカスタマイズが可能であり、本提案は、バリアフリー用のトイレ棟とタンク棟から構成されている。外壁は、トイレ棟に土壁、タンク棟に杉板を想定。
このシステムは、2024年の能登半島地震における避難所での使用を通じて、その有効性が実証された。
また、予算に応じて、トイレの数や屋根形状の調整も可能である。
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© Photos, Drawings / Tono Mirai architects
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バイオトイレ / 複合発酵(EMBC) / サスティナブル / 自然素材 / 職人技 / 土壁 / 伝統的木組 / 木造建築 / 輪違
主用途 — バイオトイレ
延床面積 — WC棟6.76㎡(2.04坪), タンク棟6.57㎡(1.98坪)
階数 — 地上1階
構造 — 木造平屋
設計 — 遠野未来建築事務所
素材-外壁:トイレ棟 土壁, タンク棟 杉板 t=15 屋根:ガルバリウム鋼板 t=0.35